○江府町文化財保護条例
昭和51年4月1日
条例第10号
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第98条第2項の規定に基づき、同法の規定による指定を受けた文化財以外及び鳥取県文化財保護条例(昭和34年鳥取県条例第50号)の規定による指定を受けた文化財以外で町の区域内に存するもののうち町にとって重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって町民の文化的向上に資するとともに、我が国文化の進歩に貢献することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例で「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。
(文化財保護審議委員)
第3条 法第98条の規定に基づき、江府町教育委員会(以下「教育委員会」という。)に江府町文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議し、及びこれらの事項に関して教育委員会に建議する。
3 審議委員の定数は6人以内とし、その任期は2年とする。
4 審議委員は、文化財に深い関心を有し、学識経験を有する者のうちから教育委員会が委嘱する。
(財産権等の尊重及び他の公益との調整)
第4条 教育委員会は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益の調整に留意しなければならない。
第2章 町指定有形文化財
(指定)
第5条 教育委員会は、町の区域内に存する有形文化財のうち町にとって重要なものを江府町指定有形文化財(以下「町指定有形文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の規定による指定をするには、教育委員会はあらかじめ、指定しようとする有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合を除く。
4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知してする。
6 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、当該町指定有形文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
(解除)
第6条 町指定有形文化財が町指定有形文化財としての価値を失ったときその他特殊の事由が生じたときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
3 町指定有形文化財について国又は県の文化財の指定があったときは、町指定有形文化財の指定は解除されたものとみなす。
4 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該町指定有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知しなければならない。
(所有者の管理義務及び管理責任者)
第7条 町指定有形文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づいて発する教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、町指定有形文化財を管理しなければならない。
2 町指定有形文化財の所有者は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わり当該町指定有形文化財の管理の責に任ずべき者(以下この章において「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、所有者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。
4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。
(所有者の変更等)
第8条 町指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 町指定有形文化財の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(滅失又はき損等)
第9条 町指定有形文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(所在の変更)
第10条 町指定有形文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(管理又は修理の補助)
第11条 町指定有形文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、町はその経費の一部に充てさせるため、当該所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに必要があると認めるときは、当該管理又は修理について指揮監督することができる。
(管理又は修理に関する勧告)
第12条 町指定有形文化財の管理が適当でないため当該町指定有形文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、教育委員会は、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。
2 町指定有形文化財がき損し、又は衰亡しようとしている場合において、その保存のため必要があると認めるときは、教育委員会はその所有者に対し、その修理又は復旧について必要な勧告をすることができる。
3 前2項の規定による勧告に基づいてする措置又は修理のために要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を町の負担とすることができる。
(現状の変更の制限)
第13条 町指定有形文化財の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。
2 町指定有形文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導と助言をすることができる。
(公開)
第15条 教育委員会は、町指定有形文化財の所有者に対し一定期間を限って教育委員会の行う公開の用に供するため当該町指定有形文化財を出品することを勧告することができる。
2 教育委員会は、町指定有形文化財の所有者に対し、3月以内の期限を限って当該町指定有形文化財の公開を勧告することができる。
3 前2項の規定による出品のために要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を町の負担とすることができる。
4 教育委員会は、第1項の規定により町指定有形文化財が出品されたときは、その職員のうちから当該町指定有形文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
5 教育委員会は、第2項の規定による公用及び当該公開に係る町指定有形文化財の管理に関し、必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは、当該管理について指揮監督することができる。
(調査)
第17条 教育委員会は、必要があると認めるときは、町指定有形文化財の所有者又は管理責任者に対し、当該町指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
(所有者変更に伴う権利義務の承継)
第18条 町指定有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、当該町指定有形文化財に関しこの条例に基づいてする教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。
2 前項の場合には、旧所有者は、当該町指定有形文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。
第3章 町指定無形文化財
(指定)
第19条 教育委員会は、町の区域内に存する無形文化財のうち町にとって重要なものを江府町指定無形文化財(以下「町指定無形文化財」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による指定をするに当たっては、当該町指定無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該町指定無形文化財の保持者又は保持団体(保持団体にあっては、その代表者)として認定しようとするものに通知してする。
5 教育委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、当該町指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
(解除)
第20条 町指定無形文化財が町指定無形文化財としての価値を失った場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会はその指定を解除することができる。
2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その認定を解除することができる。
5 町指定無形文化財について国又は県の無形文化財の指定があったときは、町指定無形文化財の指定は解除されたものとみなす。
6 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該町指定無形文化財の保持者として認定されていた者又は保持団体として認定されていた団体の代表者に通知しなければならない。
(保持者の氏名の変更等)
第21条 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したとき、その他の事由が生じたときは、保持者又は相続人は速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあっては代表者であった者)について、同様とする。
(保存)
第22条 教育委員会は、町指定無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、町指定無形文化財について、自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、町は保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(公開)
第23条 教育委員会は、町指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し町指定無形文化財の公開を、町指定無形文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することができる。
3 町は、第1項の規定による町指定無形文化財の記録の公開に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(保存に関する助言又は勧告)
第24条 教育委員会は、町指定無形文化財の保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第4章 町指定有形民俗文化財・町指定無形民俗文化財
(指定)
第25条 教育委員会は、町の区域内に存する有形の民俗文化財のうち町にとって重要なものを江府町指定有形民俗文化財(以下「町指定有形民俗文化財」という。)に、無形の民俗文化財のうち町にとって重要なものを江府町指定無形民俗文化財(以下「町指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。
4 第1項の規定による町指定無形民俗文化財の指定は、その旨を告示してする。
(解除)
第26条 町指定有形民俗文化財又は町指定無形民俗文化財が町指定有形民俗文化財又は町指定無形民俗文化財としての価値を失った場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
4 第1項の規定による町指定無形民俗文化財の指定の解除は、その旨を告示してする。
5 町指定有形民俗文化財又は町指定無形民俗文化財について国又は県の有形民俗文化財又は無形民俗文化財の指定があったときは、町指定有形民俗文化財又は町指定無形民俗文化財の指定は解除されたものとみなす。
7 第5項の場合の町指定無形民俗文化財の解除については、教育委員会はその旨を告示しなければならない。
(町指定有形民俗文化財の保護)
第27条 町指定有形民俗文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 町指定有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届け出に係る現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。
(町指定無形民俗文化財の保存)
第29条 教育委員会は、町指定無形民俗文化財の保存のため必要があると認めるときは町指定無形民俗文化財について自ら記録の作成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、町は、その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(町指定無形民俗文化財の記録の公開)
第30条 教育委員会は、町指定無形民俗文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。
(町指定無形民俗文化財の保存に関する助言又は勧告)
第31条 教育委員会は、町指定無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認める者に対しその保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
(町指定無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財の記録の作成等)
第32条 教育委員会は、町指定無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち特に必要のあるものを選択して自らその記録を作成し、又は公開することができるものとし、町は適当な者に対し、当該無形の民俗文化財の公開又はその記録の作成、保存若しくは公開又はその記録の作成、保存若しくは公開に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
第5章 町指定史跡名勝天然記念物
(指定)
第33条 教育委員会は、町の区域内に存する記念物のうち町にとって重要なものを江府町指定史跡、江府町指定名勝又は江府町指定天然記念物(以下「町指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
(解除)
第34条 町指定史跡名勝天然記念物が町指定史跡名勝天然記念物としての価値を失った場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
2 町指定史跡名勝天然記念物について国又は県の史跡名勝天然記念物の指定があったときは、当該町指定史跡名勝天然記念物の指定は解除されたものとみなす。
(標識の設置)
第35条 町指定史跡名勝天然記念物の所有者は、教育委員会規則の定める基準により、町指定史跡名勝天然記念物の管理に必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。
(現状変更等の制限)
第37条 町指定史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。
第6章 町選定保存技術
(選定等)
第39条 教育委員会は、町の区域内に存する伝統的な技術又は技能で文化財の保存のために欠くことのできないもののうち町として保存の措置を講ずる必要があるものを江府町選定保存技術(以下「町選定保存技術」という。)として選定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による選定をするに当たっては、町選定保存技術の保持者又は保存団体(町選定保存技術を保存することを主たる目的とする団体(財団を含む。)で代表者又は管理人の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
3 1の町選定保存技術についての前項の認定は、保持者と保存団体とを併せてすることができる。
(解除)
第40条 教育委員会は、町選定保存技術について保存の措置を講ずる必要がなくなった場合その他特殊の事由があるときは、その選定を解除することができる。
2 教育委員会は、保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保存団体が保存団体として適当でなくなったと認められる場合その他特殊の事由があるときは、保持者又は保存団体の認定を解除することができる。
4 町選定保存技術について国又は県の選定保存技術の選定があったときは、当該町選定保存技術の選定は解除されたものとみなす。
(保存)
第42条 教育委員会は、町選定保存技術の保存のため必要があると認めるときは、町選定保存技術について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができるものとし、町は、保持者又は保存団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(保存に関する指導又は助言)
第43条 教育委員会は、町選定保存技術の保持者又は保存団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な指導又は助言をすることができる。
第7章 補則
(委任)
第44条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
第8章 罰則
(罰則)
第45条 町指定有形文化財を損壊し、き棄し、又は隠匿した者は、2万円以下の罰金又は科料に処する。
第46条 町指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、き損し、又は衰亡するに至らしめた者は2万円以下の罰金若しくは科料に処する。
附則
この条例は、昭和51年4月1日から施行する。